IFRS対応
1.背景
2009年6月に、いわゆるIFRS導入のロードマップ「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」が金融庁より公表され、2010年3月期よりIFRS任意適用が認められる等、日本のIFRS導入への動きが本格化してまいりました。金融庁からIFRS任意適用時の連結財務諸表(年度・四半期)の開示例が公表され、連結財務諸表規則等の関連する法令・規則等についても随時整備も進められていくものと思われます。
一方、上記ロードマップにおいても記載されている通り、今のところ2015年から2016年頃となる見通し(最終判断は2012年頃)のIFRS強制適用に向けて、日本基準とIFRSのコンバージェンスを継続することは必要不可欠とされており、ASBJのコンバージェンスに関するプロジェクト計画表のスケジュールに基づいて日本基準の改訂作業が粛々と進められることになります。
2.ConglueのIFRS対応基本方針
IFRS対応には、「コンバージェンス対応」と「アドプション対応」の2つの側面があり、日本の多くの上場企業様はIFRSの任意あるいは強制適用までの間は、コンバージェンスによる日本基準の改訂に関する対応を(従来の制度改正対応と同様)進めて行くこととなります。
(1)コンバージェンス対応方針
コンバージェンス項目≒日本基準の改訂であり、従来通りの制度改正対応として保守契約の範囲内で随時バージョンアップを実施する予定です。
| 改訂日本基準 | 概要 | 適用時期 (早期適用は考慮外) |
Conglue対応方針 |
|---|---|---|---|
| 工事契約 基準第15号 |
工事進行基準の採用(原則) | 2009年4月1日以降 開始事業年度 |
標準機能(対応不要) |
| 金融商品 基準第10号 |
金融商品の時価等の開示 | 2010年3月31日以降 終了事業年度 |
標準機能 収集パッケージ対応 |
| 賃貸等不動産 基準第20号 |
賃貸等不動産の時価開示 | 2010年3月31日以降 終了事業年度 |
標準機能 収集パッケージ対応 |
| 退職給付 基準第19号 |
退職給付債務の計算に用いる割引率 ⇒期末時点 |
2009年4月1日以降 開始事業年度 |
標準機能(対応不要) |
| 資産除去債務 基準第18号 |
資産除去債務の認識 | 2010年4月1日以降 開始事業年度 |
標準機能 |
| 企業結合
etc. 基準第21号 etc. |
持分プーリング法の廃止 負ののれんの会計処理 在外子会社の外貨のれんのCR換算 etc. |
2010年4月1日以降 実施される企業結合 |
標準機能 |
| 棚卸資産 基準第9号 |
後入先出法(LIFO)廃止 | 2010年4月1日以降 開始事業年度 |
標準機能(対応不要) |
| セグメント開示基準 基準第17号 |
マネジメント・アプローチによるセグメント開示 | 2010年4月1日以降 開始事業年度 |
標準機能 |
| 持分法 基準第16号 |
関連会社/会計方針の統一 | 2010年4月1日以降 開始事業年度 |
標準機能 収集パッケージ対応 |
| 包括利益 基準第25号 |
包括利益の表示 (連結先行 適用) |
2011年3月31日以降 終了事業年度 (の連結財務諸表) |
標準機能(予定) 収集パッケージおよび 持分計算機能による対応 |
| 過年度遡及修正 基準第24号 |
会計上の変更及び誤謬の訂正について 遡及的に(過年度)財務諸表を修正 |
2011年4月1日以降 開始事業年度 |
標準機能 |
| 企業結合(ステップ2) | のれんの非償却 etc. | 2010年10~12月 基準化(Final)予定 |
標準機能(予定) |
| 無形資産 | 無形資産に関する包括的な会計基準 (企業結合(ステップ2)と合わせて公表予定) |
2010年10~12月 基準化(Final)予定 |
標準機能(予定) |
| 項目 | 2010年 | 2011年 | 備考 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 4~6月 | 7~9月 | 10~12月 | 前期 | 後期 | ||
| IASB/FASBのMOUに関連するプロジェクト項目 | ||||||
| (1)連結の範囲 | ED | Final | IASBのFinalは2010年第4四半期に公表予定 | |||
| (2)財務諸表の表示 | ||||||
| (フェーズB関連) | DP | ED | IASB/FASBのEDは2010年第2四半期に公表予定 | |||
| (非継続事業) | ED | Final | IASBのFinalは2010年下期に公表予定 | |||
| (3)収益認識 | DP | ED | IASB/FASBのEDは2010年第2四半期に公表予定 | |||
| (4)負債と資本の区分 | DP | IASB/FASBのEDは2010年第2四半期に公表予定 | ||||
| (5)金融商品 | ||||||
| (金融資産の分類と測定) | DP2 | ED | IASBのFinal(IFRS9)は公表済 | |||
| (金融負債の分類と測定) | DP又はDP2 | ED | IASBのEDは2010年上期に公表予定 | |||
| (減損) | ED | IASBのFinalは2010年第4四半期に公表予定 | ||||
| (ヘッジ会計) | ED | IASBのEDは2010年第2四半期に公表予定 | ||||
| (6)公正価値測定・開示 | ED | Final | IASBのFinalは2010年第3四半期に公表予定 | |||
| (7)退職給付 | ||||||
| (ステップ1) | Final | |||||
| (ステップ2) | DP | ED | IASBのFinalは2011年第1四半期に公表予定 | |||
| (8)リース | DP | ED | IASB/FASBのEDは2010年第2四半期に公表予定 | |||
| (9)認識の中止 | DP | ED | IASBは再EDを2010年第2~第3四半期に公表予定 | |||
| IASB/FASBのMOU以外のIASBでの検討に関連するプロジェクト項目 | ||||||
| 1株当たり利益 | Final | 既存の差異等に関する改正を行う。 | ||||
| 引当金 | DP2 | ED | IASBのFinalは2010年第2四半期に公表予定 | |||
| 排出権 | DP | IASBのEDは2010年第4四半期に公表予定 | ||||
| 保険 | IASBのEDは2010年第2四半期に公表予定 | |||||
平成22年4月12日公表のASBJの更新版の「プロジェクト計画表」を元に作成
(2)アドプション(IFRS適用)対応
現行のいわゆるIFRS導入に関する日本版ロードマップによれば、少なくとも当初のIFRSの適用対象は連結財務諸表のみ(連結先行)であり、初度適用時あるいは任意適用期間中の並行開示が求められるのも連結財務諸表のみです。
また、今のところIFRSの強制適用のタイミングとしては2015 - 2016年頃が濃厚ですが、昨今のコンバージェンスによる日本基準の改訂の流れを見ますと、強制適用時のIFRS・日本基準の差異は、現在よりもだいぶ僅少になっている可能性が高いと考えられます。
IFRS導入への対応方針として、まずは制度開示対応のみというミニマムの対応を考えている企業様にとりましては、連結会計システムの活用がポイントになると考えております。つまり、連結範囲の見直しやグループ各社の会計方針の調査等を行った上で、連結会計システムのデータ収集モジュール等を利用して、会計基準差異が生じている資産・負債や取引に関する情報を収集する仕組みを構築し、親会社の連結決算担当者が当該情報を元に組替(個別修正)仕訳を作成することでIFRSベースの連結財務諸表を作成する業務フローを確立することで対応する、という選択肢もあるということです。並行開示が必要な期間については、いわゆる二重帳簿保持の仕組みを利用して、連結会計システム上でIFRS・日本基準それぞれの連結財務諸表を作成することになります。
下記図表は、マルチGAAP対応を連結会計システム(Conglue)による組替対応で運用する場合のイメージです。
ERPを導入してグループ展開されているような比較的大規模な企業様であれば、個別会計側も含めて費用対効果や現行のタイトな決算スケジュール内での対応が可能か等、総合的に勘案してシステム対応の範囲や方針を検討することになるでしょう。しかしながら、国内に小規模な子会社が数社のみ、というような比較的小規模な企業様の場合、費用対効果の観点からも、連結会計システム上での組替で開示対応をしようと考える可能性が高いと思われます。
ERPやその他個別会計システムの複数帳簿保持の機能と、連結会計システムのデータ収集や連結処理及びレポーティングの機能をそれぞれ組み合わせた、それぞれの企業様にフィットしたソリューションを検討することで、費用対効果の高いシステム対応方針が見えてくるはずです。
(3)まとめ
プライマルでは、IFRS対応を強く意識してConglueのシステムの基本設計・機能実装を進めてまいりました。Conglueはデータ収集モジュールも内包しており(ライセンスも含む)、連結会計システムによる組替方式でIFRS対応される場合でもご利用いただきやすい構成・設計になっております。
また、弊社のWebサイト(ウェブコラム)において「IFRS解説シリーズ」を連載する等、IFRSに関する情報を今後も積極的に提供するとともに、Conglueの機能強化に繋げて行く予定です。







































