IFRS導入(強制適用)の延期表明について
去る5月26日、SEC(米証券取引委員会)がIFRS導入の方法論の一つとして検討されている「コンドースメント」(コンバージェンス+エンドースメント)というアプローチに関するスタッフ・ペーパーを公表しました。
http://www.sec.gov/spotlight/globalaccountingstandards/ifrs-work-plan-paper-052611.pdf
そして、我が国でも、米国の方針について最終結論が出ていないタイミングではあるものの、SECのスタッフ・ペーパーの内容、あるいはIASB/FASBによる共同プロジェクト(MoUプロジェクト)の完了期限延期表明を受けて、金融担当大臣の談話や企業会計審議会での議論を通じて、IFRS導入の先送りは事実上決定的となりました。
具体的には、2012年中の最終判断を待ってからということではありますが、早ければ2015年3月期にIFRSが強制適用されるという話は、準備に5~7年は必要ということで、2017年3月期~2019年3月期になると解釈出来ます。
また、IFRSの(強制)適用対象を「国際的に事業展開するグローバル企業」に限定すべきだとの議論もあるようですが、このグローバル企業の定義を数値基準(例えば、海外売上高比率が○%以上etc.)や、海外に拠点(支店・支社・ 連結子会社)を持つか否かというような基準、で判断するようなことになれば、開示実務負担の増大や監査報酬等の増大を嫌って、当該基準に適合しないような調整を行う会社が出てくるかもしれません。
その他、IFRSを適用する証券(上場)市場を分ける(新設する?)、という議論もあり、これは各企業の意思を尊重するという点では良いと思いますが、同業種で同じような業態のライバル企業同士が、市場が違うという理由で 適用する会計基準が異なるということになると、投資家サイドから見ると少々わかりにくい気もします。
しかしながら、現在でも、例えば商社やメーカーでSEC基準を適用して開示を行っている会社もあれば、日本基準を適用している会社もあることを考えると、さほど違和感はないのかもしれません。
ほぼ確定的になったIFRS導入延期のニュースを受けて、これからIFRS導入に伴う影響度(インパクト)分析の実施を計画していた会社や、これからインパクト分析の次のフェーズに入ろうとしていたような会社で、IFRS関連のプロジェクト推進をいったんストップするところが、実際に私の周辺でも出てきています。
一方で、既にIFRSを任意(早期)適用している、あるいは来年以降の任意(早期)適用を見据えて、それなりにコストをかけて準備を着々と進めている会社が一定数あることも事実です。
IFRS導入プロジェクトでは、経理・財務部門のみでなく、情報システム部門や営業系の部門等のメンバーを巻き込んで、専任のチームを編成しているケースも少なくないようです。
プロジェクトを立ち上げるにあたって、関係各部署の説得あるいは啓蒙活動にかなりの労力をかけたという会社もあるでしょう。
そういった会社では、IFRS導入プロジェクトをいったんストップする、という判断をするのは難しいのではないかと思われます。
IFRS導入の延期により、準備期間をより長く取れるということで多くの会社にとって喜ばしいことであるとは思いますが、IFRS導入の準備に早い段階から着手して真面目に取り組んできた会社が損をする、というようなことにならないことを祈ります。
代表取締役社長/公認会計士 近藤 誠









































