第17回【IFRS解説】外国為替レート変動の影響(IAS第21号)
第17回の【IFRS解説】シリーズは、「外国為替レート変動の影響(IAS第21号)」です。ここでは、「機能通貨」と「表示通貨」という日本では採用されていない概念を用いて、外貨項目の換算方法を規定しています。
なお、いわゆる外貨建のれんについては、「第13回 【IFRS解説】 企業結合」でも取り上げておりますので今回は割愛させていただくほか、為替デリバティブ(一部取引を除く)ならびに外貨項目のヘッジ会計については「金融商品:認識と測定(IAS第39号)」が、在外事業体のキャッシュ・フロー計算書の換算については「キャッシュ・フロー計算書(IFRS第7号)」がそれぞれ適用される点にご注意下さい。
また、特に基準全般を指したい場合を除き、意識して「IFRSs」表記は行っていないこと、ならびに本文中、意見にわたる部分は私見であることを予め申し添えます。
1. 機能通貨と表示通貨
(1) 機能通貨の概要
IAS21では、「機能通貨」を企業が営業活動を行う主たる経済環境の通貨としており、機能通貨以外の通貨→機能通貨に換算する際に生じる換算差額は、換算差損益として損益に計上します。
機能通貨の決定にあたっては、会社の業績・実態を最も忠実に反映する通貨を選択する必要があり、具体的には、以下の要因を考慮するとしています。
さらに、以下の要因は、機能通貨である証拠を提供するとしています。
また、在外事業体(報告企業の所在国以外の国又は所在国の通貨以外の通貨に活動基盤を置く子会社・関連会社・JV・支店)の機能通貨が報告企業と同じかどうかを判断するにあたり、活動が親会社・本店の延長で営まれているか、親会社・本店との取引が活動に占める割合が高いかなどを考慮することとしています。
なお、当然ながら機能通貨を任意に決定することは認められておらず、一度決定した機能通貨を変更することも基本的に認められません。(基礎となる事象・状態に変化があった場合のみ)
例えば中国の会社において、上記の条件に合致する通貨が米ドルである場合は、機能通貨=米ドル、米ドル以外の通貨を外貨として取り扱うことになり、換算の結果、機能通貨である米ドル建の取引からは為替差損益は生じず、外貨建取引と認識される人民等の取引から為替差損益が生じることになります。
(2) 表示通貨の概要
IAS21では、「表示通貨」を財務諸表が表示される通貨としており、機能通貨→表示通貨に換算する際に生じる換算差額は、換算調整額としてその他の包括利益に計上します。
例えば、上記の中国の会社を所有している日本の親会社が表示通貨=日本円で連結財務諸表を作成する場合、以下の流れで換算を行い、為替差額を認識します。
なお、在外事業体に「支店」が含まれることから、例えば国内会社の在外支店の機能通貨が米ドルと判定され、個別決算において換算調整額(その他の包括利益)が計上されるケースも想定されます。









































