第8回【IFRS解説】資産の減損(IAS第36号)
第8回目の【IFRS解説】シリーズは、「資産の減損(IAS第36号)」です。減損に関しては、「戻入れ」が行われるという点で、IFRSのトピックとして取り上げられることも多く、既に気にされている方もいらっしゃると思いますが、他にもいくつか日本基準と異なる点があり、いわゆる長期コンバージェンス・プロジェクトでも検討が行われている分野です。
今回は、以下のIFRSの減損の手続きに沿って、主要論点をまとめさせていただきます。
| 減損の兆候の有無の判定 | 期末毎に、資産が減損している可能性を示す兆候の有無を評価する。 |
|---|---|
| 回収可能価額の見積り | 減損の兆候があると判定された資産について、回収可能額を測定し、帳簿価額と比較する。(減損テスト) |
| 減損損失の認識及び測定 | 回収可能額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能額まで減額する。 |
| 減損損失の戻入れ | 減損損失が存在しない又は回復している可能性を示す兆候があると判定された資産について、回収可能額を測定し、回収可能額が帳簿価額を上回った場合はその範囲で減損を戻し入れる。 |
なお、IAS第36号は非流動資産、主に有形固定資産・無形資産を対象としており、その他特定の資産に関して、「棚卸資産(IAS第2号)」「金融資産(IAS第39号)」等の基準の中で、減損に関する規定が含まれていますので、ご注意下さい。また、特に基準全般を指したい場合を除き、意識して「IFRSs」表記は行っていないこと、ならびに本文中、意見にわたる部分は私見であることを予め申し添えます。
1.減損の兆候の判定
まず、期末毎に資産が減損している可能性を示す兆候の有無を評価します。IFRSでは、減損の兆候の判断材料として、「外部情報源」と「内部情報源」に区分して例示をあげています。
| 外部情報源 | ・資産の市場価値の著しい低下・技術、市場、経済、法的環境の悪化(又は悪化が予想される)・資産の使用価値の計算に用いる割引率の上昇(資産の回収可能価額が減少)・企業の純資産の帳簿価額が、株式の市場価値を超過 |
|---|---|
| 内部情報源 | ・資産の陳腐化又は物理的損害に関する証拠の存在・資産の利用範囲又は方法に対して悪影響を及ぼす著しい変化(事業廃止・リストラクチャリング・処分計画等)・資産の経済的効果が当初の予測よりも悪化又は悪化が予想される証拠の存在 |
なお、日本基準では「著しい」を表す目安として、「50%程度下落」を用いることがありますが、IFRSでは量的な基準は示されていません。IFRS導入にあたり会社の処理基準・ルール作りの際に、影響額や監査人の意見を踏まえて決定しなければならないのではないかと考えますが、セミナー等を通じて、「日本基準より厳しくなるのでは?」との専門家の意見を聞かれた方もいらっしゃるかと存じます。仮に連結決算上で修正することになった場合(連結先行)、業務が非常に煩雑になることが懸念されます。
また、減損の兆候ありと判定し、結果的に減損の認識不要となった場合、資産の耐用年数・償却方法等の見直しに影響することが予想されますので、慎重な対応が望まれます。










































