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第6回【IFRS解説】有形固定資産(IAS第16号)

投稿者:澤村 喜久男2009年8月14日カテゴリ:IFRS解説 | 会計トピック | 勉強会

 第6回目の【IFRS解説】シリーズとして、「有形固定資産(IAS第16号)」を取り上げます。このパートは、概念的に日本基準と大きく異なるものではありませんが、決算への影響だけでなく、経理業務・会計システムに大きな影響を与えることが予想され、早期の検討が望まれる分野です。 

 その中で本稿では、特徴的な以下のテーマを中心に取り上げます。

IFRS 日本基準
取得原価 資産除去債務を取得原価に含める 2010年4月1日以降開始年度から適用
借入費用を資産化(IAS第23号改訂) 特定業種のみ容認
取得後の測定 取得原価モデル・再評価モデルの選択適用 取得原価のみ
減価償却 耐用年数は企業での使用可能期間等 法定耐用年数の使用を実質的に容認
期末毎に耐用年数と残存価額を見直す --
減価償却方法の変更は会計上の見積りの変更 減価償却方法の変更は会計方針の変更

 なお、関連する「無形資産(IAS第38号)」、「リース(IAS第17号)」、「資産の減損(IAS第36号)」については、次回以降に取り上げる予定です。また、特に基準全般を指したい場合を除き、意識して「IFRSs」表記は行っていないこと、ならびに本文中、意見にわたる部分は私見であることを予め申し添えます。

1. 取得原価の構成要素

 日本基準において、2010年4月1日以後に開始する会計年度から「資産除去債務に関する会計基準」(※1)が適用され(早期適用可)、IFRSにおける有形固定資産の認識時期、取得時の測定に関しては、日本基準と大きな相違はないものと考えられます。

 但し、仮に連結決算で取得原価を修正することになる場合(連結先行)、後述の減価償却の二重管理に加えて、取得原価の二重管理が必要になり、経理業務が非常に煩雑になることが懸念されるため、慎重な検討が望まれます。

(1)取得原価の構成要素

  • 購入価格(値引き及び割戻額を差引後/輸入関税・取得税を含む)
  • 設置費用、直接付随費用
  • 当該資産項目の解体及び除去費用並びに敷地の原状回復費用の負担義務を負う場合には、これらの費用の当初見積額(=資産除去債務)

 なお、(b)に関して、有形固定資産項目の建設又は取得により直接生じる従業員給付費用の取扱いが「従業員給付(IAS第19号)」で規定されています。

(2)借入費用の資産化

 2009年1月1日に発効する「借入費用(IAS第23号改訂)」により、有形固定資産取得のための借入費用の資産計上が強制されています。取得資産との紐付き関係がある借入については大きな問題はないものと思われますが、運転資金の一部を資産の取得に充当するような場合も、資産化率(みなし金利)を用いて「資産化適格借入費用」を計算し、資産計上する必要がある点に注意が必要です。(資産化した借入費用の額、採用した資産化率を注記)

(3)減価償却単位の細分化

 資産を構成要素ごとに区分し、個別に耐用年数・残存価額・減価償却方法を適用する考え方(component accounting)が取り入れられています。例えば、定期的な取替を行う場合、当該取替部分のみの取替までの期間を耐用年数として減価償却を行い、取替の際に既存部分を除却して新たな資産を計上するなど、(仮に見積書等の単位で計上されている会社にとっては)より厳密な処理を求められるものと考えられます。

※1.資産除去債務に関する会計基準

有形固定資産を除去する際に発生する将来の負担コスト(売却・廃棄・リサイクル・有害物質の除去費用等)を見積り、算定した割引価値額を負債に計上、対応する除去費用を有形固定資産に計上して、減価償却を通して期間配分を行います。

  • 資産除去債務の発生時に合理的な金額を見積ることができない場合は、合理的に見積ることができるようになった時点で計上します。
  • 割引前の将来キャッシュ・フローに重要な見積りの変更が生じた場合は、資産除去債務の帳簿価額及び関連する有形固定資産の帳簿価額に加減して処理します。
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