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第4回【IFRS解説】財務諸表の表示(1)IAS第1号

投稿者:近藤 誠2009年7月29日カテゴリ:IFRS解説 | 会計トピック | 勉強会

 今回及び次回(第4・5回)は、「IFRS解説シリーズ」各論のテーマとして、「財務諸表の表示」について解説いたします。 

 IFRSsでは、財務諸表の表示についてはIAS第1号「財務諸表の表示」に規定されておりますが、現在IASBとFASBが共同で進めているMOU(Memorandum of Understanding:相互理解メモ)に示された「財務諸表の表示(を再検討する)プロジェクト」において、再度見直しが検討されています。その第一段階(フェーズA)として、IASBが2007年9月にIAS第1号の改正案を公表し、IFRS適用企業に対して2009年1月1日以降開始する事業年度から適用することを求めています。

 今回は、この改訂版IAS第1号「財務諸表の表示」について解説します。

1.財務諸表の体系

 改訂版IAS第1号では、1組の財務諸表として「財政状態計算書」「包括利益計算書」「株主持分変動計算書」「キャッシュ・フロー計算書」「注記」の5つが構成要素とされています。

改訂版IAS第1号
(2009年1月1日以降開始事業年度より適用)
日本基準(金融商品取引法)
(a)財政状態計算書
(statement of financial position)
(a)貸借対照表
(balance sheet)
(b)包括利益計算書
(statement of comprehensive income)
1計算書方式(単一の包括利益計算書)
2計算書方式(損益計算書+当期純損益スタート
の包括利益計算書)
(b)損益計算書
(income statement)

(c)株主持分変動計算書
(statement of changes in equity)
(c)株主資本等変動計算書
(statement of changes in net assets)
(d)キャッシュ・フロー計算書
(statement of cash flow)
(d)キャッシュ・フロー計算書
(statement of cash flow)
(e)注記
(Notes)
(e)注記、附属明細表
(Notes, Detailed notes)

当期の財務諸表に加えて、最低1期分(前期)の比較情報を表示する必要があります。また、会計方針の変更等に伴う遡及的修正や誤謬に伴う遡及的修正再表示、財務諸表に含まれる項目の再分類が必要となるケースでは、財務諸表上に表示される最も古い期の期首時点の財政状態計算書を追加作成・表示する必要があります。
我が国における(連結)財務諸表等規則のような、詳細な表示の規定はなく、各企業が財務諸表利用者にとって有用であるかどうかという判断基準で表示内容を決定していくことになります。

2.全般的な検討事項

項目 概要
(1)適正表示とIFRSへの準拠
(離脱規定)
財務諸表は企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローを適正に表示しなければなりません。
特定のIFRSの規定に準拠することで、フレームワークに定める財務諸表の目的に反すると結論付けられる極めて稀なケースにおいては、離脱の内容(理由や採用した処理)や財務的影響等を開示した上で離脱することになります。
(2)継続企業 財務諸表を作成するにあたって、企業(経営者)は継続企業として存続する能力の評価を行う必要があります。継続企業の前提が無い場合、その事実を財務諸表作成の基礎及び継続企業とは認められない理由と共に開示することが求められます。
(3)発生主義会計 キャッシュ・フロー計算書を除き、発生主義会計により財務諸表を作成しなければなりません。
(4)重要性と合算 重要性のある項目を財務諸表上、個別に表示しなければいけません。性質または機能が異なる類似性のない項目については、重要性がないと判断される場合を除き、個別に表示する必要があります。
(5)相殺 IFRSの規定により強制または容認されている場合を除き、資産と負債、収益と費用は相殺表示することはできません。
(6)報告頻度 完全な1組の財務諸表+比較情報を最低年1回作成しなければなりません。1年よりも長い期間もしくは短い期間の財務諸表を作成する場合、その期間、理由等の追加的な開示が必要となります。
(7)比較情報 原則として、当期の財務諸表中の全ての金額について、前期との比較情報を開示する必要があります。また、当期の財務諸表の理解に資する場合には、文章による説明的情報に比較情報を記載することが求められます。
当期において、表示の組替があった場合には、実行不可能な場合を除き、比較情報も併せて組み替える必要があります。
(8)表示の継続性 企業の事業内容の重大な変更等により、別の表示・分類の方がより財務諸表の目的適合性が高い、あるいはIFRSの基準により表示を変更しなければならないケースを除き、財務諸表項目の表示と分類は一貫して継続する必要があります。
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